研究課題/領域番号 |
17H06509
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
頼 イーティン 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (80805341)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 教員評価 / 目標管理手法 / 教育委員会 / 教員人事 / 成果主義 |
研究実績の概要 |
本研究は、2014年地方公務員法改正後、教員の資質向上の側面だけに機能させてきた目標管理手法による教員人事評価制度に関して、各都道府県の教育委員会がいかにその評価結果を教職員人事管理・処遇へ反映するかという運用実態について研究するものである。 初年度である平成29年度は、法規制の改定動向を踏まえ、国レベルでの人事管理方針や教職員に求める能力観を明確するために、主として総務省、財務省、文部科学省による教員人事管理に関連する議事録、答申、報告書の収集を行った。さらに、それらと並行して、「教職員人事評価制度と処遇制度と二本立てタイプ」である京都府における教職員人事評価制度の全体運営、特に評価結果の管理的運用・育成的運用に関する実態とその基本的考え方を明らかにするため京都府教育委員会への訪問調査も行った。 その結果、京都府における教職員人事評価制度は平成28年4以降人事評価制度法制化への対応に合わせた変更点について確認することができた。具体的には、「教職員評価制度」と「査定評価制」による教職員人事評価制度は、それぞれ「人事評価」、「給与活用制度」として改正地公法で位置づけされたことが分かり、また、改正地公法への対応を機会に、複数の評価表を一つに統合し、自己目標の設定数と面談回数を減らすことなどによって、従来の評価制度を見直し、評価者・被評価者の普段軽減を図ろうとする取り組みを明らかにした。 他方、教員の資質向上という育成機能が求められている教員評価制度には、なぜ目標管理手法が取り入れられたかという着眼点を通して、教員評価制度における成果主義人事管理観を明らかにし、その意義と課題について学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、①国レベルでの政策動向とその方針を明確するために、関連する議事録、答申、報告書の収集を予定通り進めることができた。②京都府教育委員会のご親切な対応によって得難い資料が入手できたことで、「教職員人事評価制度と処遇制度とを二本立てタイプ」の教員評価制度の実態調査および分析ができた。③学会発表での意見交流を通して新たな知見を得ることができた。以上の点でおおむね計画通りに進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、前年度と同じ研究手法で、調査対象である自治体における教職員人事評価制度をめぐる現状を考察する。具体的には、①「教職員人事評価制度一本で教員育成と人事処遇を果たすタイプ」、②「教職員人事評価制度を教員育成のみに運用していたタイプ」の調査対象県を中心に、その教職員人事評価制度に関する議事録や関連資料の収集、また、各県教育委員会へ訪問調査を継続して実施する。 それらの調査を通して、教職員人事評価制度の評価結果の運用現状と各教育委員会における運用実態の相違点を分析したうえで、各教育委員会では、地域に即した教職員人事評価制度を構築するに当たって、その基本的な考え方を究明し、これを教職員の資質向上と人材育成の視点から評価する。
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