近年,再生医療の観点から欠損歯の補綴歯科治療の実現を目指した多くの研究が行われてきたが,臨床応用に向けた革新的な技術は未だ得られていない。本研究は歯の発生において重要な分子であるFGFRシグナルに注目し,研究代表者らが過去に樹立したFGFR3ゲノム編集iPS細胞を用いて分化誘導実験を行い,歯胚分化誘導技術の基盤に繋げることを目的とした。 実験を通じて,FGFR3ゲノム編集iPS細胞はスタチンの骨芽細胞分化促進作用に対して抵抗性を持つことが想定された。同結果は骨形成のメカニズムに新たな知見を加え得ると共に,象牙質の形成促進作用をもつ化合物の探索など,歯胚分化誘導技術の発展に寄与する可能性がある。
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