研究課題
脳卒中片麻痺患者の歩行は麻痺により左右非対称になりやすいといわれており、本研究では歩行時の体幹運動左右非対称性を評価することができる新規評価指標のLissajous Index(LI)の有用性およびその他身体機能とLIの関連を検討することを目的とした。本研究は平成29年度と同様に初回発症の脳卒中片麻痺患者を対象として実施した。方法は、対象者の腰部第3腰椎の高さに3軸加速度計を装着し、快適歩行速度で10mの歩行を実施させた。得られた体幹加速度からLIを算出した。LIの測定時期は対象者が回復期リハビリテーション開始後,上肢支持や介助を要さずに10mの歩行が可能となった時を初回とし,初回から1ヶ月ごとに測定を実施した。平成29年度から継続して25名の対象者で初回と1ヶ月後の測定を実施した。初回LIと1ヶ月後LIの差を算出すると、平均して初回LIよりも1ヶ月後LIが縮小していたことから、脳卒中片麻痺患者における歩行時体幹運動の左右非対称性は1カ月間のリハビリテーションにより左右対称に近づく可能性が示唆された。また、初回LIと1ヶ月後LIの差は下腿三頭筋の筋緊張の変化と有意な相関関係がみられた。さらに、初回LIと呼吸機能との関連を検討した結果、対標準肺活量と有意な相関関係がみられた。脳卒中片麻痺患者は麻痺や痙性により胸郭可動性が低下し拘束性換気障害を呈しやすいといわれている。本研究の結果、LIと対標準肺活量の間に関連がみられたことから、LIと胸郭可動性の間に関連があると考えられた。以上より、LIを経時的に測定することで体幹運動左右非対称性の変化を評価できることが示唆された。また、下腿三頭筋の筋緊張の変化が歩行時体幹運動左右非対称性の変化と関連があることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
巻: 13 ページ: 3957-3962
10.2147/COPD.S184212.