生活習慣病とガンの関係性から、生活習慣病予防効果を見出している転写因子CREB3L3の機能解析を行っている。生活習慣病においては、CREB3L3の過剰発現マウスが肥満及びインスリン感受性の悪化を抑制する結果を得ており、その分子メカニズムを探っている。 肥満においては、CREB3L3が生活習慣病改善効果で注目されているFGF21依存的に抑制していることを明らかにし、FGF21が皮下の白色脂肪組織に作用し、褐色化を促進させることで熱産生・基礎代謝を増加させ肥満を抑制していることを明らかにした。 インスリン感受性の悪化抑制効果においては、FGF21インディペンデントな効果が見られたため新たな因子を探索した。新たにCREB3L3のターゲット因子として見出し、インスリン感受性に影響を与えうる因子をアデノウイルスを用いてノックダウンしたところ、インスリン感受性の悪化抑制効果が減弱された。 ガンにおいては、CREB3L3欠損マウスに高脂肪高ショ糖食を負荷すると一部のマウスで肝硬変及び肝癌を発症する個体が見られるというプレリミナルなデータから、より頻度を上げる目的で高脂肪高ショ糖食に加え繊維化を促進する四塩化炭素を投与した。サンプルサイズが小さいためか、現段階では肝癌を発症する個体はいない。 またCREB3L3の過剰発現マウスにNASH/肝癌の発症を促進する操作を行ったところ、現段階では野生型マウスと比較して差は見られていない。タイムポイントを追って解析する必要がある。 翌年度は海外でポスドクとなるため、辞退する。
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