本研究では、長期的な低収益に陥っている日本企業の収益性改善に向けた示唆抽出に向けた実証分析を行なった。最初に、企業の有する資源・能力を再構築する上で重要となるダイナミック・ケイパビリティ論を援用しつつ、資源投下パターンと収益性の関係性についてのモデルを構築し、そこから継続的な資源投下が収益性向上に寄与するとの仮説を導出した。その後、日本の大規模製造業189社の27年間にわたるR&D費の推移と営業利益率の関係性の定量分析を実施した。そこでは当初の仮説が検証され、R&Dの対売上高比率をわずかながらでも増大させてきた企業ほど長期的には利益率を向上させることが判明した。
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