研究実績の概要 |
Myd88をシグナル伝達分子として用いるDAMPsであるHMGB-1, IL-1α,IL-33のうちどのDAMPsがどの程度テープストリッピング後のIl1β,Cxcl1の発現上昇に関与するかを明らかとするために,新生児から単離し培養した表皮にHMGB-1, IL-1α,IL-33を添加後にIl1β,Cxcl1のmRNAの発現を測定した。その結果、HMGB-1、IL-1αの添加ではIl1β,Cxcl1のmRNAの発現が有意に増加したが,IL-33の添加ではこれらのサイトカイン,ケモカインの上昇は認めなかった。またHMGB-1とIL-1αの添加によるIl1β,Cxcl1のmRNAの発現上昇の程度に顕著な差はみられなかった。さらにマウスの背部に,HMGB-1, IL-1α,IL-33を皮内注し4時間後の表皮のIl1β,Cxcl1のmRNAの発現を検討したところ,in vtroの添加実験の結果と同様にHMGB-1,IL-1αはIl1β,Cxcl1のmRNAを有意に増加させたが,IL-33による皮内注ではこれらのサイトカイン,ケモカインの発現量に変化はみられなかった。また,同様にHMGB-1とIL-1αの皮内注によるIl1β,Cxcl1のmRNAの発現上昇の程度に顕著な差はみられなかった。以上から,Myd88をシグナル伝達分子として用いるDAMPsであるHMGB-1, IL-1α,IL-33のうち主にHMGB-1とIL-1αがテープストリッピング後のIl1β,Cxcl1の発現上昇に関与すると考えられた。
|