研究課題/領域番号 |
17H06554
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
原 勇介 群馬大学, 医学部附属病院, 助教(病院) (20806434)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 小児急性骨髄性白血病 / 乳幼児に特化した層別化治療 / 予後因子の探索 |
研究実績の概要 |
小児急性骨髄性白血病(AML)は未だ予後不良な疾患であるが、治療反応及び分子生物学的異常に基づいたリスク層別化治療により、長期生存率は60-70%まで向上した。しかし小児AMLは極めて雑多な集団であり、より精密な層別化治療が望まれている。本研究では特に乳幼児症例に注目した。乳児のAMLでは治療強度の軽減による治療関連死亡の回避が必要であることが本邦から報告されており、乳幼児においては治療の強化だけでなく軽減もまた重要であることが示唆された。また乳幼児における造血幹細胞移植は成長障害、発達障害、内分泌障害等の晩期合併症の高リスクとなるため極力回避すべきであり、その適応は慎重に検討する必要があるとされている。以上より、乳幼児のAMLに特化した分子生物学的異常の同定やリスク層別化治療の構築を本研究の目的とした。 日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)AML-05研究に参加した症例の余剰検体を用い、乳幼児AMLの特徴や予後について解析を行うこととした。369例中99例が3歳未満であり、この集団においてまず初めに既知の遺伝子異常の解析を行い、分子生物学異常の同定やその予後因子としての検討を行った。 現在のところ融合遺伝子の解析やその予後因子としての有用性の検討は終了しており、既報から予想された結果だけでなく、複数の因子が新規の予後予測因子となり得る可能性が示された。今後はより詳細な臨床像の検討を行う予定であり、新しい治療層別化モデルを構築する予定である。 既知の分子生物学的異常が同定されなかった症例においてはRNAシークエンスを中心とした次世代シークエンサーによる大規模解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ既知の遺伝子異常については解析を終えており、その臨床的意義の検討も概ね完了している。既知の遺伝子異常が検出されなかった症例においては一部でRNAシークエンスを施行しており、今後データ解析及び新規遺伝子異常が同定された場合には機能解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シークエンサーで得られたデータは膨大であり、詳細な解析には医学的知識のみならずバイオインフォマティクスの専門的知識も必要になり、専門施設との連携が必須である。また次世代シークエンサーの解析は高額でもあるため、既知のデータを元に症例を絞って解析を行うことが重要である。
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