研究課題/領域番号 |
17H06557
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高谷 一成 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (20804298)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | イオン移動度 / イオン付着法 / 室内環境分析 |
研究実績の概要 |
本研究は,空気中の揮発性有機化合物(VOC)などの多成分を測定対象とし,独創的な暴露評価ツールの開発を行うことを目指している。空気中化学物質の総合的な暴露評価ツールを試作・開発し提供することにより,研究対象の拡大と多面的な解析が可能になるなどの意義がある。空気中のVOCについては,ポンプを用いる方法が公定法であるが,多くの現場での測定のためには正確で簡易な測定法の開発が切望されている。また,これまでの測定,分析法とは違って,リアルタイムでのVOCの定性,定量や濃度モニタリングの可能性は疾患と空気汚染の実態や関係をより正確に把握することができ,素早い対応,安心,安全につながる。 平成29年度は空気中のVOCの暴露評価ツールとしてIA-IMS装置の開発を行った。 IA-IMS装置はイオン付着法(IA)法とイオン移動度分析(IMS)装置を組み合わせた独自の分析装置である。IMS装置は大気圧下で動作させることが可能であるため,質量分析装置のように真空装置を必要とせず,非常にコンパクトな分析装置を作成することが可能である。IA法はイオン化の際に解離イオンを伴わずにイオン化ができるため,空気中のVOC分析のような多成分混合ガスの分析に適したイオン化法である。これらの利点を生かしたIA-IMS装置のプロトタイプの開発を行った。装置開発のために移動度の理論計算を行い,IA-IMS装置による空気中のVOC分析は可能であることを確認した。装置開発についてはおおよそ完成した。 装置開発の詳細や理論計算の結果については国内学会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,IA-IMS装置をおおよそ完成させることができた。 また移動度の理論計算を行い,IA-IMS装置の定性分析における性能評価を行った。その結果,本装置による室内の揮発性有機化合物をリアルタイムに分析することが可能であることを確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
室内空気中にあるVOC成分の試薬を用いて実験室でIA-IMSの性能評価実験を行う。 さらにこれらのVOCの実測に向けた定量的な分析のためのデータベースを作成する。これまでの研究で報告されている室内空気中のVOCを対象に検量線を得る。またGC/MS、小型チャンバーなど主要分析機器を使用して比較実験を行い,IA-IMSの実用化に向けた信頼性の確認を行う。
これらのデータベースをもとに、実際の室内空間や大気のサンプリングを行う。同時にアクティブサンプリングも行い、両者の一致度、バラつき、堅牢性などを評価する。得られた各暴露評価ツールごとに、アクティブ法との相関性、検出限界、定量下限、直線性、測定期間の範囲、選択性、堅牢性、不確かさなどを評価する。
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