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2017 年度 実績報告書

脂質過酸化物アクロレインを標的とした機能性蛍光プローブの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17H06580
研究機関東京大学

研究代表者

佐々木 栄太  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (00803157)

研究期間 (年度) 2017-08-25 – 2019-03-31
キーワード蛍光プローブ / アクロレイン / 脂質過酸化物 / ケミカルバイオロジー
研究実績の概要

生体内で発生している活性酸素は、リン脂質やコレステロールエステルなどを構成する多価不飽和脂肪酸を酸化的に分解し、様々な炭素鎖長を持つ不飽和アルデヒド分子を生成する。これら分子は癌や生活習慣病などの様々な疾患に関わっていることがわかってきているため、その生体内動態を詳細に解析する手法は、疾病の検出や予防に役立つことが期待できる。本研究では、C3の炭素鎖長をもつ不飽和アルデヒド分子(アクロレイン)を標的とし、アクロレイン分子と反応することで蛍光シグナルを発する小分子蛍光プローブの開発を目指している。具体的には、アクロレインとの反応性が報告されているアリルアジド基に注目し、構造中にアリルアジドを含む小分子蛍光プローブの設計と有機合成を行っている。本年度は小分子蛍光プローブの基本構造としてよく利用されているシアニン色素やニトロベンゾオキサゾールにアリルアジド基を導入し、アジド基の安定性やアクロレインとの反応性について評価を行なった。分光(蛍光)光度計、核磁気共鳴装置、質量分析装置などを用いた分析の結果、アジド基の安定性は導入した蛍光色素、溶媒、光、熱などの影響を受け、特定の条件下において容易にアミノ基へと変換され得ることを観測した。また、アクロレインとの反応性についても同様に、分光(蛍光)光度計や高速液体クロマトグラフィーを用いて、様々な条件下において検討を行なっている。以上の結果により、目的とするアクロレイン感受性蛍光プローブの開発には、アジド基の安定性と反応性を化学的に調整する必要があるということがわかってきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アクロレインとアリルアジドの反応性を確かめ、アリルアジド基を有する複数の蛍光性分子の合成を行うことができたため。一方、アジド基の安定性やアクロレインとの反応性については当初予期していなかった性質も見出し、解決すべき点だと考えている。現在は得られた結果を考案していた小分子蛍光プローブの設計へと再度フィードバックし、アクロレインと反応することで蛍光シグナルを発する分子の開発を進めている。

今後の研究の推進方策

これまでに合成したアリルアジド基を有する蛍光性分子を用いて、アジド基の安定性やアクロレインとの反応性の差異をより詳細に調べる予定である。それによって、蛍光性分子に結合したアジド基の化学的な性質を制御する方法を見出したい。より優れた小分子蛍光プローブを開発するため、必要であれば当初の分子設計へ大幅な見直しと改善を加えることによって、アクロレインと反応することで蛍光シグナルがONとなる機能性分子の開発を行う予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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