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2017 年度 実績報告書

変形性股関節症の疫学指標とそのリスクの解明:10年間の地域追跡コホートより

研究課題

研究課題/領域番号 17H06628
研究機関東京大学

研究代表者

飯高 世子  東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80800680)

研究期間 (年度) 2017-08-25 – 2019-03-31
キーワード医療・福祉 / コホート研究 / 運動器疾患 / 変形性股関節症 / 疫学 / 発生率 / 介護予防
研究実績の概要

運動器疾患をターゲットにした大規模地域住民コホートResearch on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability(ROAD)studyは、平成17年に立ち上げ、東京都板橋区、和歌山県日高川町および和歌山県太地町の40歳以上の一般住民を抽出し、研究の同意が得られたものを参加者として登録しており、合計3,040人(男性1,061人、女性1,979人、平均年齢70.3歳)である。要介護予防を最終目的し、運動器疾患を主たる予防ターゲットとした検診を実施し、その後追跡調査を行ってきた。すでに平成20年~22年の第1回追跡調査(3年目)、平成24年~25年の第2回追跡調査(7年目)を完了し、平成27年より開始した10年目の第3回追跡調査も終了している。
本年度は、過去4回の調査で得られた、のべ12,000例の股関節X線をKellgren/Lawrence分類を用いて比較読影を実施し、人年法を用いて変形性股関節症(股関節OA)の発生率、増悪率を算出した。股関節OAの発生率は7.5 /1000人年(男性 5.6/1000人年、女性 8.4 /1000人年)であり、有意に女性の発生率が高かった。股関節OAの増悪率は4.3 /1000人年(男性 2.2/1000人年、女性 6.0 /1000人年)であり、有意な男女差はなかった。
その上、股関節X線読影結果と、過去4回にわたる膨大な生活習慣、既往歴、職業歴、栄養など400項目以上の問診票データや、握力、下肢筋力、上下肢筋量、歩行速度、2歩値、片脚起立時間など運動機能テストのデータのリンケージを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年は予定通り住民コホートROADのベースライン調査及び、第1~3回追跡調査における股関節X線画像の読影が完了し、股関節OAの発生率、増悪率が明らかになった。さらに、読影結果と過去4回分の調査のデータリンケージを実施した。

今後の研究の推進方策

ROAD studyでは、地域代表性を有した一般住民3,040例において、X線検査の他に、生活歴・ADL・QOL・認知機能・既往歴・職業歴、転倒、介護度などを含めた問診票調査、ロコモ25、栄養調査(BDHQ)、整形外科専門医による臨床情報、骨密度検査、血液、尿検査などの多岐にわたる調査を行っているほか、上下肢筋力測定、上下肢筋量・脂肪量測定、歩行速度、開眼片脚起立時間、2歩値など様々な運動機能検査も実施している。本年度、ベースライン調査と10年間にわたる追跡調査によって得られた膨大な蓄積データとのデータリンケージを実施した。来年度は、股関節OAの発生や増悪と上述した様々な項目を解析することにより、股関節OAの発生や増悪に生活習慣や既往歴、栄養、運動機能などが関連しているかどうかの解明をし、股関節OAの危険因子、防御因子を明らかにする。
また、一次性股関節OAが多いといわれる欧米に対し、本邦では寛骨臼形成不全(AD)をはじめとする二次性股関節OAが多いといわれている。このように地域や人種によって股関節の形態が異なることが予想される中、本邦における股関節形態の解明が、股関節OAの発生、増悪を解明、さらには予防法を確立する上で必要不可欠である。ADの診断に関しては、申請者らが開発した自動定量システムを用いることで、正確かつ短時間にX線計測を行い、診断することが可能となった。過去4回の調査で得られた股関節X線画像の計測を行うことでADの有病率、発生率など自然経過も明らかにする。そして、股関節OAの発生率や増悪率の結果とともに解析することにより、股関節OAの発生や増悪にADが関連しているかどうかを明らかにする。これらを明らかにすることにより、効果的な股関節OAの予防法を提言し、要介護予防と高齢者のQOLの維持増進に貢献することが出来る。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Radiographic measurements of the hip joint and their associations with hip pain in Japanese men and women: the Research on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability (ROAD) study.2017

    • 著者名/発表者名
      Iidaka T, Muraki S, Oka H, Kodama R, Tanaka S, Kawaguchi H, Nakamura K, Yoshimura N
    • 雑誌名

      Osteoarthritis Cartilage

      巻: 25 ページ: 2072-2079

    • DOI

      10.1016/j.joca.2017.08.008

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Is osteoporosis a predictor for future sarcopenia or vice versa? Four-year observations between the second and third ROAD study surveys.2017

    • 著者名/発表者名
      Yoshimura N, Muraki S, Oka H, Iidaka T, Kodama R, Kawaguchi H, Nakamura K, Tanaka S, Akune T.
    • 雑誌名

      Osteporos International

      巻: 28 ページ: 189-199

    • DOI

      10.1007/s00198-016-3823-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Serum levels of matrix metalloproteinase-3 and autoantibodies related to rheumatoid arthritis in the general Japanese population and their association with osteoporosis and osteoarthritis: the ROAD study2017

    • 著者名/発表者名
      Kodama Rie、Muraki Shigeyuki、Iidaka Toshiko、Oka Hiroyuki、Teraguchi Masatoshi、Kagotani Ryohei、Asai Yoshiki、Hashizume Hiroshi、Yoshida Munehito、Kawaguchi Hiroshi、Nakamura Kozo、Akune Toru、Tanaka Sakae、Yoshimura Noriko
    • 雑誌名

      J Bone Miner Metab

      巻: 36 ページ: 246-253

    • DOI

      10.1007/s00774-017-0834-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 変形性股関節症の疫学:有病率と発生率2017

    • 著者名/発表者名
      飯高 世子、村木 重之、岡 敬之、堀井 千彬、田中 栄、川口 浩、中村 耕三、阿久根 徹、吉村 典子
    • 学会等名
      第17回東京骨関節フォーラム
  • [学会発表] 寛骨臼形成不全の疫学:有病率と股関節痛との関連2017

    • 著者名/発表者名
      飯高 世子、村木 重之、岡 敬之、児玉 理恵、田中 栄、川口 浩、中村 耕三、阿久根 徹、吉村 典子
    • 学会等名
      第35回日本骨代謝学会
  • [学会発表] 変形性股関節症と職業活動との関連2017

    • 著者名/発表者名
      飯高 世子、村木 重之、岡 敬之、堀井 千彬、田中 栄、川口 浩、中村 耕三、阿久根 徹、吉村 典子
    • 学会等名
      第19回日本骨粗鬆症学会
  • [学会発表] 変形性股関節症の疫学:有病率と痛みとの関連 -The ROAD study-2017

    • 著者名/発表者名
      飯高 世子、堀井 千彬、吉村 典子
    • 学会等名
      第76回日本公衆衛生学会

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公開日: 2018-12-17  

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