研究実績の概要 |
まずはMDSと細胞老化の関係性を詳細に明らかにすべく、すでに遺伝子発現上昇が確認されているp16Ink4a, p21等、細胞老化関連遺伝子群のタンパクの発現上昇をウェスタンブロッティング法を用いて確認した。その結果、MDSモデルマウスとして使用したAsxl1G643fs/wtマウスではこれら遺伝子のコードするタンパク質の発現が野生型マウスと比較して上昇していることを確認した。また細胞老化に伴う表現型の変化として、造血幹細胞の細胞周期解析を行った。具体的にはマウス造血幹細胞が高頻度に濃縮されていると考えられる分画を、表面抗原に対するマーカーとフローサイトメーターを用いて同定し、同分画における細胞周期各段階にある細胞の頻度をKi67とHoechst33342染色によって確認し、G1期の不可逆的な細胞周期停止が起きていることを見出した。 また同時に上記MDSマウスモデルに置ける炎症性サイトカインや炎症性ケモカイン、プロテアーゼやタンパクといった、Senescence-associated secretory phenotype (SASP)関連因子の発現をリアルタイムPCR法を用いて検証した。その結果、IL-1b, IL-8など複数の炎症性サイトカインのmRNAレベルの亢進が明らかとなった。現在はこれらの分泌の亢進の有無を更に解析すべく、ex vivoで回収した骨髄液を使用してELISA法にて解析を行っている。 更にAsxl1G643fs/wtマウスとp16ヘテロノックアウトマウスの掛け合わせを行い、in vivoでのp16Ink4a機能阻害の効果を確認している段階である。
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