研究実績の概要 |
次世代シーケンサーによる浸潤リンパ球のレパートリー解析:これまでの研究結果では浸潤リンパ球のうち、B細胞のクローナル増殖がHICでは極めて特徴的であったことから、B細胞抗原受容体遺伝子の網羅的次世代シーケンスによるレパートリー解析の症例数を蓄積した。具体的には、ハンナ型IC(HIC)25症例、またコントロールも6症例に対してB細胞のレパートリー解析を施行した。HICでは、半数以上でモノクローナルに近い、極めてクローナリティの高いB細胞集団が浸潤していることを同定した。一方、膀胱癌、慢性膀胱炎、形態的正常所見を呈する非特異的膀胱ではいずれもHICに比するとB細胞のクローナリティは低く、B細胞のクローナル増殖がHICに特徴的な所見であることが示唆される。さらに、ハンナ型IC,非ハンナ型IC,過知覚膀胱、コントロール(膀胱癌背景正常粘膜)を対象に、網羅的遺伝子発現解析(RNA-seq)を施行し、遺伝子発現の面でもハンナ型ICが特異的な疾患単位であることを同定した。さらに、ハンナ型ICにおいて、特異的有意に発現が変動していた遺伝子に対するpathway解析を施行し、BAFF(B cell activating factor)、VEGFがHICにおいて特異的に発現上昇を来しており、これらはハンナ型間質性膀胱炎における新規治療標的/バイオマーカーとなりうる候補であることを見出した(論文準備中)
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