研究課題
胚のエピゲノム変化として、着床を契機に胚のDNAメチル化がダイナミックに促進されることが報告されているが、着床直前の胚および子宮におけるエピゲノム変化は明らかになっていない。受精卵は着床直前に子宮内に移入し、子宮による作用によって胚が活性化し着床能を獲得し、子宮への接着反応を開始し、着床によりさらにトロフェクトダームおよびICMの細胞分化が加速する。そこで、胚の活性化前後の受精卵のDNAメチル化・ヒストン修飾を解析した。MeDIP-Seqにより、活性化前後でDNAメチル化の全体の程度の差は見られなかったが、RNA-seqで発現が2倍以上変化した4092遺伝子のうち、メチル化に差があった遺伝子は2843遺伝子と69%でDNAメチル化による発現の変化だったと考えられた。現在、ChIP-seq(H3-K4、H3-K9、H3-K27)は解析し、データをまとめている。また、子宮の解析では、プロゲスチンは不妊治療で子宮の着床能を補助する目的で用いられる一方、避妊目的にも用いられるが、プロゲスチンが着床に与える影響については未だ不明であることに着目して、プロゲスチンが着床に与える影響を検討した。着床前に、マウスに高容量のプロゲスチンを投与したところ、着床障害が見られた。着床に必須因子であるLIF発現を着床直前の妊娠4日目の午後の子宮で調べたところ、プロゲスチン投与でLIFは有意に低下した。また、プロゲスチン投与による着床障害を救済するため、妊娠4日目にLIF蛋白を投与したところ、着床障害率は改善した。このことから、プロゲスチンが着床直前の子宮のLIF発現を低下させることで着床を阻害する可能性が示された。以上の実験内容を踏まえ、LIFの子宮及び胚への影響を着目し、子宮特異的LIF欠損マウスの着床前後の胚のRNA-seqを行い、解析中である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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