筋炎患者の筋生検検体を入手できる機会が研究機関中に14件あったため、当初計画していた疾患モデルの解析よりも優先して、筋生検検体由来のマクロファージの単離と解析を用いた解析に注力した。 生検検体由来の細胞を単離するプロトコールを検証した。線維組織の処理のための酵素について、コラーゲナーゼ、リベラーゼを用いて表面分子の温存の程度や得られる細胞数を比較検討し細胞数や単球系の表面抗原についてはいずれの酵素を用いても検出できる程度に変化はないことを確認した。その後はコラーゲナーゼを用いて筋生検検体について細胞単離を行い、生検終了後から約3時間で細胞を単離することができた。その後セルソーターでCD68陽性細胞を単離したが、単離後の細胞数が1000個程度と少ない傾向であった。 入手できる筋の量は限られており、また検体によっても含まれる細胞数にばらつきはあるが、手技によっても大きな改善はなく、ソーター上のカウントで1000個であっても再度フローサイトメトリーを施行するとほとんど細胞が検出できない状態であった。 今後は、得られる細胞数がフローサイトメトリーの解析に不耐であることを考慮して、Single cell RNA seqを行う方針とし、補助的には筋切片の免疫染色を行っていく方針とした。 また、疾患モデルの解析については、マクロファージのサブセット分子の1つであるCD206について、薬剤投与によって細胞特異的に除去できるマウスを入手した。薬剤投与による細胞サブセット除去の条件検討を行ったが、繁殖の状態から有意差を検証できる程度の動物数に至らなかったので、今後も引き続き予備検討の結果に基づいて疾患モデルの解析を行う。
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