研究課題
炎症性腸疾患(IBD)は長期罹患により高率に大腸がんを発症する。特にIBDは若年者に多く、IBD付随がんは散発性大腸がんよりも若年に発症することからQOLのみならず社会活動にも大きな影響を及ぼす。さらに散発性大腸がんよりも悪性度が高く予後不良であることが大きな問題であるが、その発症メカニズム・悪性形質獲得機構は未だ不明である。そこで本研究では申請者が独自に開発したIBD体外モデルを発展させ、ヒトIBD患者由来の大腸オルガノイドを用いたIBD付随大腸発がん体外モデルを構築することにより、IBD罹患中の発がん過程を明らかとすると共に、特徴的ながん形質獲得機構を解明する。さらに、臨床応用として発がんリスク評価・発がん予防策の構築・新規治療薬開発などの基盤を形成することを目的とした。具体的には、1)ヒトIBD患者由来大腸オルガノイドの持続炎症モデル構築、2)ヒトIBD患者由来大腸オルガノイド遺伝子編集による発がん候補遺伝子機能解析を中心課題に据え、ヒトIBD体外モデルを構築することによりIBD病歴による発がん過程を解明する。倫理審査委員会承認のもと、ヒト大腸オルガノイド及びIBD患者由来大腸オルガノイドは樹立し、炎症応答も解析により炎症刺激期間による上皮細胞形質転換を明らかとした。さらに、IBD付随がんでP53変異を認めることから、CRIPR/Cas9システムを用いてP53変異オルガノイドを樹立した。P53変異による形質変化を解析し、Nutlin耐性、幹細胞分画、分化形質、増殖能などを評価し、P53変異による上皮形質変化機構を明らかとした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Gastroenterology
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10.1007/s00535-018-01540-y