研究課題
我々は世界にも先駆けて腎臓病領域に次世代シークエンサーによる網羅的腎臓病遺伝子診断パネルを導入し、2014年より運用を開始している。臨床的に遺伝性腎疾患が疑われた患者の網羅的遺伝子診断を行うことで、腎疾患リスクの高い遺伝子群の変異型をデータベース化し、症状と照らし合わせることで遺伝子変異-表現系相関を見出すことを目指した。また一方で、典型的な症状を持ちながらも既知の原因遺伝子に責任変異が同定されなかった症例を集積し、その患者群に共通する変異遺伝子を見出すことで、新しい疾患原因を解明する事を次の目標とした。患者検体は全国より集積し、2018年度までに網羅的遺伝子解析を実施した患者数は約700名に達した。パネル解析により得られた知見に関して、学会研究会での発表は2018年以降のみで23件、原著論文は8本に及び、数多くの遺伝子変異-表現系相関を見出す事に成功したことに加え、多くの患者で遺伝子診断を確定させることで社会貢献的要素も大きかった。また例えば、塩喪失性腎症の一つであるGitelman症候群の遺伝子解析は84例に至り、既知の責任遺伝子に変異を認めない例を47例(56%)認めた。うち5家系に共通して新規のCaチャネル変異を、また他の独立した2家系ではオートファジーアダプター遺伝子に全く同一の超希少変異を同定し、これら2つの遺伝子は矛盾ない病態生理仮説の成り立つ有望な候補責任遺伝子と考えられ、Caチャネルについては海外研究協力機関からノックアウトマウスの譲渡を受け現在解析を進めているところである。本手法は診断のツールとして、また新しい病態解明の手がかりを生む手法として今後も有用性が高い状況が続くと想定され運用を継続する予定である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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