樹木の微気候調整効果を活かした設計・灌水計画を支援するために、単木の熱・水収支と緑化空間の熱環境予測手法の確立を目指した。特に、計算負荷などの問題から建築環境工学では殆ど扱われてこなかった水文過程(土壌―植物―大気系:SPACの相互作用)について、設計実務への応用を意識した簡便な数値モデルを検討した。更に、既存の商用3D-CADを利用した熱環境シミュレーター上へのSPACモデルの導入を目指したが、残念ながら期間終了時点では完成に至らなかった。日本の街路樹を想定したSPACモデルの予測結果は、自然降雨のみに頼った場合、夏季の大半の期間で蒸発散の効果が十分に活用できない可能性が高いことを示した。
|