研究課題
研究活動スタート支援
本研究では,固体高分子形燃料電池の正極触媒に用いられる白金合金触媒の腐食劣化機構を解明するために,ナノメートルサイズの微小な触媒粒子の劣化を同一場所で走査型電子顕微鏡観察可能な測定手法を開発することに成功した.本手法と白金合金触媒の腐食量分析を組み合わせた結果,腐食劣化促進環境により白金および添加元素の双方が腐食することで,ナノ粒子表面の平滑化や粒径の減少が促進されることを明らかにした.また,白金が溶解するような厳しい腐食環境では,腐食挙動におよぼす組成の影響がほぼ現れないことを明らかにした.
腐食科学
本研究により開発された新規手法は,腐食量分析などの平均情報とは異なり触媒ナノ粒子個々の劣化挙動を解析可能であり,白金合金触媒の腐食劣化機構解明の詳細な議論につながるものであり,多くの学術的価値を含んでいる.また,安価な固体高分子形燃料電池触媒の開発は,災害大国である我が国において社会および産業の喫緊の課題の1つであるため,腐食劣化機構解明に基づく触媒開発につながればその社会的意義も大きいと考えられる.