1)画像出力型深層学習をベースとするCTのための被曝線量低減手法の開発 本研究で開発したCTのための被曝線量低減手法は,我々独自の深層学習をベースとし,学習と実行ステップから成る.学習ステップでは,超低線量で撮像されたCT像を入力画像,高線量で撮像されたCT像を教師画像に使い,深層学習モデルを学習する.深層学習は,ニューラルネット回帰モデル(NN)で構成され,入力は超低線量CT像の局所領域の画素値,出力はそれに対応する高線量CT像中の1画素の推定値である.学習は,教師画素と出力画素の誤差が小さくなるよう,NNの重み係数を調整することにより行われる.実行ステップでは,学習後のモデルに未学習の超低線量CT像を入力すれば,あたかも高線量で撮ったようなCT像(仮想高線量CT像)に変換できる. CTデータの3次元化に伴い,深層学習モデルを3次元に拡張する場合,情報量の増大に伴う学習時間の増大が問題となる.2次元モデルの学習は,通常のPCにおいて約72時間を要した.3次元化すると情報量が10倍程に増える.この問題に対処するため,我々が以前に開発したLaplacian Eigenmapに基づく非線形入力次元削減手法を応用した. 2)3次元胸部ファントムによる被曝線量低減手法の性能検証 深層学習3次元モデルの学習と検証のため,精巧な3次元胸部ファントムを,CT装置の最低線量から最高線量までの複数の線量で撮像した.超低線量と最高線量のCT画像を入力画像と教師画像とし,深層学習モデルを学習した.本手法で低減できる被曝線量を定量的に明らかにするため,最高線量CT像を理想画像とし,出力CT像の画質をSSIM (Structural Similarity)を用いて評価した.仮想高線量CT像の画質と,実際に線量を変えて撮像したCT像の関係を調べることにより,本手法で低減できる線量を定量的に明らかにした.
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