研究課題/領域番号 |
17H06680
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
豊福 実紀 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (30631725)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 比較政治 / 日本政治 / 政治過程 / 政党 / 税 / 配偶者控除 / 女性 / 働き方 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後日本において、女性の就業率が上昇する中で就労抑制的な配偶者控除制度が拡充されてきた要因を、OECD諸国とくにスウェーデンをはじめとする北欧との比較の観点から探るものである。初年度にあたる2017年度には、以下のとおり、日本の配偶者控除制度をめぐる政治過程分析と、OECD諸国の税制についての調査・分析を中心に、研究を実施した。 第一に、政党を中心に、租税政策形成に関与する政治的アクターに注目しながら、日本の配偶者控除制度の導入時から2017年度税制改正に至るまでの政治過程を分析し、専業主婦のみならず、農・自営業者や給与所得者全般への減税措置を通じて配偶者控除制度が拡充されてきたことを示した。それにより、2017年度税制改正においてウーマノミクスの一環として配偶者控除の廃止が議論されながらも配偶者控除が維持される結果に終わった理由の一端を明らかにするとともに、制度の変容と政権党との関わりについての示唆を得た。ノルウェーで開催された研究会において研究成果を発表し、比較政治研究者からのフィードバックを得た。 第二に、OECD諸国の税制についての調査・分析を行った。とくに力点を置いたのは、スウェーデンにおける所得税制の変化と政権党との関係についての文献調査と、OECD諸国における所得税制の発展に関する調査・分析である。後者については、計量分析と事例分析を通じて、日本や北欧諸国を含む国々における税制の特徴や、控除制度の影響などを考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度中の研究は、当初の研究計画に沿って進展した。研究成果は、海外の研究会で発表し、論文を海外ジャーナルに投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2017年度中の研究成果と、ノルウェーで比較政治研究者と研究交流の機会を得たことを活かしつつ、北欧での調査や国内外での研究発表などを通じて、女性の働き方と租税政策の変化に関する比較分析を進展させる予定である。
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