本研究成果がマーケティングと正当性に関わる研究領域に対する貢献として期待されるのは,次の2点である。すなわち第1に,マーケティング研究やその他一部の経営学研究においてこれまで議論されてきた進化概念の貢献/限界について,近年の文化進化論をはじめとする領域の成果を視野に入れながら検討し,それらをふまえた新たな視角が市場における価値規範の変化という集合現象を捉える際の有用性を指摘した。第2に,既存研究で十分に分析されてきたとはいえない,製品に対する人々の認識を示すことばの変化に着目しながら,新製品の意味と業界全体の価値規範が変化していく過程について,実証的な手法に基づいて記述したことである。
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