研究課題
末梢の虚血による伝導遮断によって脊髄で一酸化窒素(NO)が産生され、神経活動増強に寄与することをこれまでフラビン蛋白蛍光イメージング法と蛍光色素を用いたin vivo イメージングで視覚的に評価してきた。平成30年度は神経細胞でNOを産生時に活性化する神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)と神経障害性疼痛との関連性が認められているⅡ型代謝型グルタミン酸受容体(GroupⅡmGluR)との関連性について検証した。nNOSの抗体およびgroupⅡ mGluRを構成するmGluR2/mGluR3の抗体を用いて行った二重蛍光免疫染色では、双方の細胞が末梢組織からの刺激を入力する脊髄後角に存在することが分かった。さらに、同一細胞における両者の関連性を調べるため、in situ hybridizationを行ったところ、nNOSの半数近くにmGLUR2のmRNAが存在することが分かり、mGluR3についても、1割程度の関連性が認められた。さらに、groupⅡ mGluRのアゴニストを投与したマウスでは、末梢を虚血にしてもnNOSの光量増強を認めなかった。以上の結果から、末梢の伝導遮断は早期より脊髄におけるnNOSを活性化し、NO産生を誘発すること、持続的に産生されたNOが両側性に拡散することで神経活動を増強し、GroupⅡmGluRの機能を抑制することが示唆された。また、GroupⅡmGluRの失活は神経障害性疼痛を誘発することが分かっており、神経障害性疼痛形成において、この超早期のNO産生が足掛かりになる可能性のあることが示唆された。以上の結果について、平成30年度に得られた結果と併せて論文をJournal of Physiologyに投稿し、 受理された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Physiology
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