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2017 年度 実績報告書

環境化学物質による「ストレス脆弱性」発現メカニズムの解明とバイオマーカーの確立

研究課題

研究課題/領域番号 17H06706
研究機関富山大学

研究代表者

平野 哲史  富山大学, 研究推進機構 研究推進総合支援センター, 助教 (70804590)

研究期間 (年度) 2017-08-25 – 2019-03-31
キーワード環境化学物質 / ストレス脆弱性 / ネオニコチノイド
研究実績の概要

近年急増しているうつ病や不安障害等のストレス関連精神疾患の発症においては、環境要因による「ストレス応答系のかく乱」が関与することが知られている.しかしながら、環境要因がどのように「ストレスに対する脆弱性」を発現させるのかについては依然として不明である.本研究では、近代特有の環境要因である環境化学物質に曝露したマウスおよび培養細胞をモデルに「ストレス脆弱性」状態の発現メカニズムを解明し、新規バイオマーカーを同定することを目的とした.
まず、哺乳類の脳神経系への影響が懸念されている新規環境化学物質としてネオニコチノイド系農薬に着目した曝露実験を行った.その結果、ネオニコチノイド系農薬の1種であるジノテフランを発達期曝露したマウスは、新規環境における多動症状やうつ様行動の減少を示し、一部の脳領域においてドーパミン及びセロトニン神経細胞数が増加することが明らかになった.そこで、マウス神経芽細胞腫(Neuro-2a)やヒト神経芽細胞腫(SH-SY5Y)等を培養神経細胞モデルとして影響評価を行った結果、ネオニコチノイド系農薬の1種であるクロチアニジンを曝露したSH-SY5Y細胞においては、培養24時間以内に細胞数が増加することが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度においては、環境化学物質曝露時に新規環境におけるストレス脆弱性を示す動物モデルを作製し、作用メカニズムの一端として一部脳領域における神経細胞数が変化することを明らかにすることができた.加えて、培養細胞モデルとして細胞種、被験物質等を検討し、ヒト神経芽細胞腫(SH-SY5Y)において、細胞数の増加がみられるという新たな知見を得た.来年度以降、これらのモデルを用いた新規バイオマーカーの候補の探索が期待でき、概ね計画通りに研究が進捗している状況であると判断した.

今後の研究の推進方策

動物モデルを用いた実験により、これらの環境化学物質が新規環境における行動変化を引き起こす際に、脳のいずれの領域、いずれの細胞種に作用するのかを引き続き同定する.また、培養細胞モデルにおいて観察された影響については、細胞内シグナル伝達や遺伝子発現変化等に着目してメカニズムを解明する.また、オミクス解析を活用して、環境化学物質曝露時に発現変化する新規バイオマーカーの候補因子を抽出し、その有用性を実験的に検証する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] NOAEL-dose of a neonicotinoid pesticide, clothianidin, acutely induce anxiety-related behavior with human-audible vocalizations in male mice in a novel environment.2018

    • 著者名/発表者名
      Hirano T, Yanai S, Takada T, Yoneda N, Omotehara T, Kubota N, Minami K, Yamamoto A, Mantani Y, Yokoyama T, Kitagawa H, Hoshi N
    • 雑誌名

      Toxicology letters

      巻: 282 ページ: 57-63

    • DOI

      10.1016/j.toxlet.2017.10.010.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prenatal and early postnatal NOAEL-dose clothianidin exposure leads to a reduction of germ cells in juvenile male mice.2017

    • 著者名/発表者名
      Yanai S, Hirano T, Omotehara T, Takada T, Yoneda N, Kubota N, Yamamoto A, Mantani Y, Yokoyama T, Kitagawa H, Hoshi N
    • 雑誌名

      The Journal of veterinary medical science

      巻: 77(9) ページ: 1196-1203

    • DOI

      10.1292/jvms.17-0154.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ネオニコチノイド系農薬が哺乳類の脳神経系に及ぼす影響に関する包括的リスク評価2017

    • 著者名/発表者名
      平野哲史,星 信彦,田渕圭章.
    • 学会等名
      環境ホルモン学会第20回研究発表会
    • 招待講演
  • [学会発表] 環境ストレスおよびネオニコチノイド系農薬ジノテフランの複合影響評価2017

    • 著者名/発表者名
      高田 匡,米田直起,大成果乃子,大野周嗣,久保静花,杉田晄佑,宮田結佳,平野哲史,万谷洋平,横山俊史,北川 浩,星 信彦
    • 学会等名
      環境ホルモン学会第20回研究発表会
  • [学会発表] 発達期におけるネオニコチノイド系農薬曝露により引き起こされたドーパミン神経系の攪乱を伴う多動2017

    • 著者名/発表者名
      米田直起,高田 匡,大成果乃子,大野周嗣,久保静花,杉田晄佑,宮田結佳,平野哲史,万谷洋平,横山俊史,北川 浩,星 信彦
    • 学会等名
      環境ホルモン学会第20回研究発表会

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公開日: 2019-12-27  

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