本研究では、環境化学物質曝露時に観察される「ストレス脆弱性」状態の発現メカニズムを解明するとともに、曝露初期の変化を検出可能な新規バイオマーカーの確立を目的とした.哺乳類の脳神経系への影響が懸念されるネオニコチノイド系農薬を曝露したマウスにおいては、新規環境において多様な神経行動学的影響がみられ、一部の脳領域において神経細胞数が変化することを示した.加えて、ヒト神経芽細胞腫を用いた実験から、曝露初期に細胞内へのカルシウム流入が見られ、関連する遺伝子発現の変化を誘導することが明らかになった.これらの結果から神経細胞における特定の遺伝子発現変化が新規バイオマーカーの候補となる可能性が示唆された.
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