研究実績の概要 |
核酸類の検出における検出法として蛍光分子を用いた手法が多く報告されている。しかし、蛍光分子はスペクトル域に一定の広がりを有するため、複数の核酸類を同時に検出には蛍光波長の重なりがノイズとして検出されてしまう。本研究では尖鋭なピークをもつ19F NMRに注目し、光架橋による19F NMRのケミカルルシフの変化を利用した核酸類同時検出を行った。2018年度は前年度検討した3種類の光架橋型人工核酸を用い、19F NMRによる3種類のmiRNA(miRNA27a, Let7i, miRNA200a)の同時検出を行った。フッ素源としてトリフルオロチミジン(TFT)を用い、ハイブリダイゼーションチェインリアクション(HCR)を増幅系として組み込んだ。その結果、光照射により標的miRNAに対応した19Fシグナルが検出された。また、反応前とは8 ppm近く大きなシグナル変化が誘起されており、本研究課題の目的である光架橋による電子状態の変化を用いた大きなケミカルシフトの変化と、周辺環境によるケミカルシフトの変化を組み合わせる事により、19 NMRを用いた核酸類の同時検出に成功した。
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