未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の阻害剤であるASP3026とALKのアゴニストであるモノクロナール抗体(mAb16-39)をHEK293T細胞株に投与し、リン酸化ALKの発現を免疫染色とWestern blotting法にて確認した。その結果ASP3026投与にて濃度依存性にリン酸化ALKの発現は低下し、mAb16-39投与にてALKの発現は上昇した。 マウス後根神経節DRG(dorsal root ganglion)初代培養ニューロンにASP3026とmAb16-39を投与し神経軸索長と神経sproutingを定量的に評価した。ALKのKnock down有無によるDRGニューロンの神経軸索長とsproutingを比較検討した。 その結果ASP3026投与にて神経軸索伸長とsproutingは有意に抑制され、mAb16-39投与にて神経軸索伸長とsproutingは有意に亢進することを確認できた。 またALKをKnock downすることで神経軸索伸長とsproutingは有意に抑制された。 ALKのリガンドを特定するために表面プラズモン共鳴・質量分析計(SPR)を用いた実験を行った。その結果CS-B(デルマタン硫酸)がALKと最も相互作用のあることが分かった。デルマタン硫酸のコア蛋白であるBiglycanとDecorin投与にて濃度依存性にリン酸化ALKの発現は亢進した。デルマタン硫酸、コア蛋白投与群で神経軸索成長円錐尖端においてリン酸化ALKの発現が亢進していた。デルマタン硫酸、コア蛋白投与群で有意に神経軸索が伸長していた。デルマタン硫酸とそのコア蛋白はALKの活性化を誘導し軸索伸長に寄与しており、今後神経再生研究に応用できることが期待される。
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