研究課題/領域番号 |
17H06757
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加納 史也 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40801626)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 帯状疱疹 / 神経変性 / MCP-1 / Siglec-9 / M2マクロファージ |
研究実績の概要 |
ヘアレスマウスへHSV-1を滴下投与し帯状疱疹疼痛様モデルを作成した。投与後1週間後に背部に炎症所見を認め、疼痛スコアも悪化した。モデルは既報と同程度の組織変化を認めた。MCP-1とsSiglec-9の投与は皮膚への直接塗布と尾静脈投与の2つを選択した。静脈からの全身投与では、感染1日後からPBS に溶解したMCP-1/sSiglec-9 を尾静脈より1日1 回7日間全身投与した。コントロール群では,PBS を投与した。 局所投与では、感染1日後から同タンパクを擦過部に直接塗布する.以降7日間1日2 回反復塗布した。コントロール群では,PBS およびステロイド製剤を塗布した。 背部の炎症状態は対照群(PBS投与群)と比較し、有意差は得られなかったものの、14日目から改善傾向を示した。MCP-1とsSiglec-9投与後、7日目・14日目・28日目のモデルマウスのL4、L5腰椎と背部皮膚の組織を取り出しH-E染色とトルイジンブルー染色を行った。H-E染色では、全てのタイムポイントでMCP-1とSSigle-9投与群の炎症系細胞浸潤の抑制を認めた。またトルイジンブルー染色ではMCP-1とsSiglec-9投与群と対照群で、L4・L5での神経変性を認めた。健側側と比較し、MCP-1とsSiglec-9投与群では神経変性の範囲が対照群と比較し小さかった。 von Frey hairを用いた疼痛関連スコアの測定では、MCP-1とsSiglec-9投与群で投与14日目ごろより改善を認めた。PBS投与群では疼痛改善を得ることはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り実験が行えている。
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今後の研究の推進方策 |
疼痛制御効果の検討する。急性期のサイトカイン遺伝子発現定量と制御型M 2 免疫染色経時的にmRNA を抽出し,定量的リアルタイムPCR にて炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1β,IL-6 など)や抗炎症性サイトカイン(IL-10,TGF-β1 など),抗炎症性性M2マクロファージマーカー(CD206,Arginase1 など)の遺伝子発現変化を定量し,急性期の変化を比較検討する.さらに,遺伝子発現変化比が最も激しい点での組織を蛍光免疫染色法にて染色し,各種免疫担当細胞の浸潤程度を比較検討する. I n v i t r o 細胞培養系を用いたミクログリア制御メカニズムの解析する。M 2 によるグリア細胞の細胞死抑制効果:シュワン細胞は神経組織における髄鞘形成だけでなく,組織の恒常性の維持する役割がある.ミクログリアをMCP-1/sSiglec-9 を用いてM2へ誘導する.同様にマウスから採取したシュワン細胞をアポトーシス誘導し,M2 と共培養する.Tunel 染色にてアポトーシス細胞数を計測する.M 2 による神経細胞の変性抑制効果:生後1日のマウスDRG を採取し,無血清で培養する.無血清下では神経細胞は変性を起こし細胞死する.M2 ミクログリアと共培養またはM2由来培養上清で培養することで,神経変成の抑制効果を検討する. M2の網羅的な性状解析をする。マウスミクログリアを M2 へ誘導する前後にRNA を回収.次世代シークエンサーを用いたmRNA のダイレクトシークエンスを行い網羅的な性状解析を行う.M2による疼痛制御の効果因子の同定を試みる.今後の発展性と未知の因子を同定できる可能性が高い.
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