研究課題
研究活動スタート支援
本研究では3次元の流域地形を1次元チューブの集合に分割できる等高線地形モデルを用いることで,降雨流出・斜面崩壊・土石流・土砂流出統合型の数値モデルを構築した.これを用いることで,降雨と地形を入力条件として,流域内の任意の地点における水位,土砂濃度および堆積深さの時空間分布を直接推定可能である.構築したシミュレーションプログラムは,2017年九州北部豪雨の被災域である赤谷川流域に適用し,斜面部の崩壊・侵食プロセスと谷底部の堆積過程が適切に再現できることを確認した.
防災工学
本研究は,これまで時空間スケールが異なることからそれぞれ別個に研究されてきた降雨流出,斜面崩壊および土石流・土砂流出過程のシミュレーションモデルを,等高線地形モデルを用いることで統合したことに学術的な意義がある.また本研究により実現したシミュレーション手法は,土砂災害や,土砂生産の影響を受けた下流部での氾濫災害を対象にした被害予測や被害想定,河道設計,降雨観測を元にした警戒避難に応用可能な基礎技術となりうるものである.