研究課題/領域番号 |
17H06770
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北谷 亮輔 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70805811)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 歩行学習 / 筋電図 / コヒーレンス / リハビリテーション / 脳卒中 |
研究実績の概要 |
本研究では、歩行学習方法の違いによる歩行学習効果を、皮質脊髄路の活動量を反映する筋電図間コヒーレンス解析により神経生理学的背景から検討し、より効果的な歩行学習方法を提案することを目的としている。本年度はまず、健常者を対象とした測定から開始するため、滑車を介して重錘により遊脚側足部に抵抗を加えることが可能である先行研究と同様な歩行測定環境を整えることが出来た。若年健常者を対象にリクルートを行い、歩行学習条件として重錘による抵抗をすぐに加えるAbrupt条件と重錘による抵抗を徐々に加えるGradual条件の2条件を測定している。現在、健常者の測定と並行して随時データ解析も行い、遊脚時間や歩幅に関してAbrupt条件では先行研究と同様な歩行学習効果が生じることが確認出来た。さらに、先行研究では報告が少ないGradual条件でも歩行学習効果が生じることが確認出来た。本研究で整えた測定環境でも歩行学習効果が生じていることを確認出来たため、現在、本研究の最も独創的な点である歩行学習中の筋電図間コヒーレンスによる皮質脊髄路の活動量を検討するために、測定した筋電図データの解析を中心的に進めている。 また、本研究では下腿筋を中心に筋電図を測定し、歩幅や立脚・遊脚時間などを中心に動作解析しているが、歩行学習中の動作解析を行う中で、歩行学習の効果として股関節運動や体幹運動にも変化が生じていることが確認出来ており、今後の解析対象部位の拡大を検討する基礎的資料となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はまず歩行学習効果を検討する測定環境を整えることが出来た。さらに、若年健常者を対象にリクルートを行い、測定と並行してデータ解析を行い、仮説通りの途中結果を得られることが出来ているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後もまずは予定していた対象者数まで増加させるために、健常者を対象とした測定を継続していく。得られた結果を基にして、どちらの条件で筋電図間コヒーレンスによる皮質脊髄路の活動量の増加を必要としないまま歩行対称性を変化させることが可能か検討する。その後、脳卒中患者に対してより効果的と考えられる歩行学習方法を提案するため、脳卒中患者を対象とした測定に向けてリクルートを開始していく予定である。 また、歩行学習方法として先行研究では前方から重錘により遊脚側足部を補助する方法も検討されており、本研究でも股関節運動や体幹運動にも変化が生じていることが確認出来ている。そのため、より最適な歩行学習方法を考案するため、さらに多くの歩行学習方法の比較検討や筋電図測定部位を増加させるなど、健常者を対象として追加解析を行う方向に研究計画を追加修正する予定である。
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