研究課題/領域番号 |
17H06776
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥 忠憲 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (50805314)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 公務員法 / 公務労使関係法 / フランス公務員参加法 / 官公吏関係法令規律原理 / 労働者参加原理 / 勤務条件法定主義原理 / 労働基本権 / 人事院勧告 |
研究実績の概要 |
まず、フランス公務員参加法の研究に従事した。第1に、基本原理である官公吏関係法令規律原理と労働者参加原理につき、主として第三共和政期から現在に至るまでのフランスの議論を考察することにより、両者の意義を解明した(奥忠憲「フランス公務員参加法における基本原理――官公吏関係法令規律原理と労働者参加原理」法学論叢183巻3号連載開始予定(2018年度予定))。第2に、これらの原理に基づく近年の公務員参加法制度改革を検討することにより、両原理の現代的意義等を明らかにした(奥忠憲「フランスにおける近年の公務員参加法制度改革」法学論叢(2019年度予定))。
また、以上の研究を踏まえた公務労使関係法制に関する日仏比較研究に取り掛かる前に、その準備作業の一環として、日本に固有のものである人事院勧告法制の意義を考察し、その一端を明らかにした。その際には、東日本大震災からの復興財源の確保と財政危機への対応のために人事院勧告の内容に基づかない給与減額措置を定めた国家公務員給与改定臨時特例法が、国家公務員に対する労働基本権制約の代償措置のひとつである人事院勧告法制を形骸化させることから憲法28条に違反するか等の点について争われた裁判例(東京高裁平成28年12月5日判決(平成27 年(行コ)第16 号:給与等請求控訴事件)労判1169 号74 頁)の研究に主として従事し、その成果を研究会で発表した(奥忠憲「国家公務員給与改定・臨時特例法に関する合憲性」公法判例研究会(京都大学、2018年3月8日))。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的には、順調に研究を遂行することができており、現に研究成果の発表にこぎ着けることもできている。
ただし、当初の計画では、2月から3月にフランスに出張し、現地での調査の実施を検討していたが、公法判例研究会での前記報告に向けた準備等の用務のため、実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、フランス公務員参加法に関する研究に従事する。その際には、現在のマクロン政権が、国家公務員の人員削減や、これによる人員不足を補うための若年者の徴用、あるいは、政治任用の対象となる幹部公務員の拡大等といった公務員法制度改革に取り組んでいることから、その動向を注視し、これらの改革が与える影響にも目を光らせる必要があると考えている。そのうえで、継続して日本の公務労使関係法制についても研究し、両国の法制度を比較する。
なお、当初の計画では、2018年末にフランスのトゥール大学で開催される予定であったシンポジウムに参加し、機会を得ることができれば研究発表することになっていた。しかしながら、2018年の1月に、開催時期が同年3月に変更となり、前記のとおり、同月は用務のためにフランスに出張できなかったため、シンポジウムに参加することもできなかった。したがって、この点については計画の変更を余儀なくされている。現時点では、前記の研究課題を遂行するに際し、必要に応じ、フランスに出張したうえでの現地調査や学術行事への参加等を検討しているところである。
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