研究課題/領域番号 |
17H06803
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西川 義浩 京都大学, 医学研究科, 医員 (80802785)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 膵癌 / Hes1 |
研究実績の概要 |
膵癌は多数の遺伝子異常の蓄積により、化生性変化 (ADM; acinar-to-ductal metaplasia) 、膵前癌病変 (PanIN; pancreatic intraepithelial neoplasia) を経て多段階に浸潤癌(PDAC; pancreatic ductal adenocarcinoma)へと至ることが知られている。Notchシグナルの下流分子Hes1が膵前癌病変(ADM・PanIN)から膵浸潤癌に至るまで幅広く発現していることに着目し、膵発癌におけるHes1の役割を明らかにするために研究を行ってきた。そこで本研究では、膵癌の治療標的としての可能性を明らかにするために、(1)成体の正常膵組織の恒常性維持におけるHes1の役割を明らかにする、(2)膵病変の進行におけるHes1の役割を明らかにする、ことを目的とした。 そのため、平成29年度は、(1)Flp/Frt systemを用いて、同システムの存在下にCre/LoxP systemにより任意の時期にタモキシフェン誘導下にHes1をノックアウト可能なマウスを準備した。(2)Flp/Frt systemにて膵病変形成可能かつ、同システムの存在下にCre/LoxP systemにより任意の時期にタモキシフェン誘導下にHes1をノックアウト可能なマウスを準備した。 これらのマウスを用いた検討を行うことにより、Hes1の膵癌の治療標的としての可能性を明らかにするための基礎を構築しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、膵癌の治療標的としての可能性を明らかにするために、(1)成体の正常膵組織の恒常性維持におけるHes1の役割を明らかにする、(2)膵病変の進行におけるHes1の役割を明らかにする、ことを目的としていた。 平成29年度は、(1)Flp/Frt systemを用いて、同システムの存在下にCre/LoxP systemにより任意の時期にタモキシフェン誘導下にHes1をノックアウト可能なマウスを準備した。(2)Flp/Frt systemにて膵病変形成可能かつ、同システムの存在下にCre/LoxP systemにより任意の時期にタモキシフェン誘導下にHes1をノックアウト可能なマウスを準備した。しかしながら、膵癌病変の評価過程において、当初予定していた薬剤投与法では、膵癌病変におけるHes1遺伝子のノックアウト効率が想定より悪く、このままでは、膵癌形成におけるHes1の機能評価ができない事が判明した。その結果、薬剤投与方法・投与量などを再調節し、改めて膵癌マウスモデルを作成したうえで再評価を行う必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究進展に引き続き、(1)成体の正常膵組織の恒常性維持におけるHes1の役割を明らかにする、(2)膵病変の進行におけるHes1の役割を明らかにする、ことを目標に、まずはマウスモデルおよびタモキシフェン投与による効率的なHes1遺伝子のノックアウトの投与法の確立を図る。そのうえで、(1)成体の正常膵の恒常性維持および炎症モデルにおいて、炎症・再生時のHes1の役割の解明を図る。(2)膵病変が形成されたのちにタモキシフェンを投与することにより、膵病変においてHes1遺伝子のノックアウトを図り、膵病変の施行におけるHes1の役割の解明を図る。
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