研究課題
特発性正常圧水頭症(iNPH)の髄液バイオマーカーの探索は多く試みられてきた。しかし、疾患特異的な髄液バイオマーカーは同定されていない。iNPHが疑われる症例では腰椎穿刺時に大量の髄液(約30ml)を排出させる処置(タップテスト)を行なう。これにより歩行スピードや認知機能の改善が一時的に得られることがある。一般的にはタップテストの最初に採取された髄液を検査検体に用いるが、上述のようにiNPHの病態評価に用いるには限界がある。これまでの研究成果から、iNPHの病態では、通常の腰椎穿刺で得られる髄液は脳室内髄液の濃度を直接的に反映していない可能性があることに着目し、タップテスト時に髄液を2点で採取してマーカー測定する手法を考案した。平成29年度は、iNPHが疑われる症例に対してタップテスト時に得られる髄液の内、最初の髄液1 ml (First Drip : FD)と最後に得られる髄液1 ml (Last Drip : LD)を別々に採取した。また、iNPHに対する治療として脳室―腹腔シャント術を行なう機会があった場合は、脳室留置シリコンチューブを脳室内に留置する際に交通性の確認のために採取される脳室内髄液を1 ml採取した。それぞれの髄液分画についてタウやアミロイドβなどの髄液バイオマーカー濃度をELISA法にて測定した。結果としては、iNPHにおけるタップテストで得られる髄液では各種バイオマーカー濃度は一定ではないこと、LDが脳室内髄液の濃度をより反映することを示した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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