研究実績の概要 |
昨年度は本研究で用いるGRASP法のパルスシーケンスを本施設のMRI装置で用いるため、開発元(ニューヨーク大学)との交渉・契約を行い、比較対象とするためのニューヨーク大学で開発された画像再構成プログラムを入手した。また、画像再構成を行うためのワークステーションのセットアップ、環境構築を行ったうえで、ファントム画像を対象とした撮像を行い、GRASP法により撮像された生データから画像再構成が行えることを確認するとともに、医用画像に用いられるファイル形式であるDICOM形式で結果を書き出すためのソフトウェアを開発した。 今年度は再構成された画像をdicom通信で送受信するためのdicomサーバの構築を行った。これは実際の臨床に近い環境で画像を評価するために重要なステップである。また、昨年度はファントムを対象とした撮像であったが、今年度はボランティア撮像を行った。健常ボランティアを対象として、事前に指定した異なる4つのパターン(shallow breathing, deep breathing, normal breathing, random breathing)で呼吸を行って撮像し、いずれに関しても再構成が可能なことを確認した。今後はこのデータを解析することにより、推定精度の検討を行う予定である。また、今後予定している造影剤を用いたダイナミックMRI画像を用いて、体内臓器に分布する造影剤の時間変化を解析(薬物動態解析)するために、two compartment model に基づく薬物動態パラメータKtrans, kep, ve を算出するためのmatlabプログラムを開発した。5月に開催された国際磁気共鳴医学会大会(ISMRM)に参加して最新の知見を収集するとともに、ニューヨーク大学を含む海外の研究者と意見交換を行った。
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