日本国内のフリースクールをはじめとするオルタナティブスクールと公教育との連携について実証的な調査・分析を行った。 実施した主な調査は以下の通りである。全国のオルタナティブスクールならびにそれらが所在する地域の教育委員会へのアンケート調査。公教育との連携事例を持つオルタナティブスクールへの聞き取り調査。公教育との連携について取り上げたオルタナティブスクール関係者による公開イベント等への参加とそこでの聞き取り調査,ならびに資料取集。 主に明らかになったことは以下の通りである。地域における公民連携の協議会の設置や共同事業の実施はあまりなされていない。教員や行政職員とオルタナティブスクールの活動の間のネットワークの構築はあまりなされていない。不登校児童生徒のオルタナティブスクールでの学習活動が在籍校での指導要録上の出席扱いになるかについては,在籍校に希望を出した児童生徒はほぼ認められているが,在籍校に希望を出せないあるいは交渉ができないケースを考慮すると課題が残る。 本研究が見出したオルタナティブスクールと公教育の連携における最も大きな課題は以下の通りである。オルタナティブスクールでの学習活動の内容や理念・目標が学校教育と対応しているかどうかと,公教育との連携の度合いに明確な関連はない。同じオルタナティブスクール内で活動する児童生徒であっても,在籍校やその地域が異なれば学籍上の扱い(出席認定や実習用通学定期適用)に差が生じている。 以上より,本研究は,不登校支援における公民連携の事業や取組について,主に公教育側の恣意的な判断によって,あるいは偶発的なやりとりによってそれが達成されるか否かが左右され,さらにはその決定権が公教育側に置かれているという問題を指摘した。
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