腫瘍組織の血管分布は不均一であるがゆえに灌流が悪く、抗がん剤送達の妨げとなっている。これは急速な腫瘍組織の成長と、それに伴い供給される新生血管のミスマッチが原因と考えられているが、どのような法則に基づき血管が分布しているのかはよくわかっていなかった。我々は神経膠腫や肺がん組織などにおける血管新生を生体イメージング解析し、腫瘍組織の血管分布変化を再評価した。その結果、腫瘍内部に存在する血管内皮細胞が、腫瘍組織内を灌流する血管を構成するように遠心性に伸長する性質を有することを明らかとした。この性質を今後さらに調べることで、腫瘍血管制御を介した、新たながん治療の開発につながると期待される。
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