研究課題
平成29年の研究では、主にin vitroの実験の系において、食道癌におけるSTAT3の活性化と放射線治療抵抗性の関連についての評価、及び、放射線治療とSOCS1遺伝子治療の併用による治療効果について検討を行った。その結果、食道癌においても他癌と同様に、STAT3の活性化が放射線治療の抵抗性と関連があり、STAT3を標的とした治療が、その問題を克服する可能性が示唆された。さらに、SOCS1のウイルスを用いた遺伝子治療が相加効果を示すことを示した。平成30年度は食道がん移植異種マウスモデルを用いて、放射線治療に加えてのSOCS1遺伝子治療の併用効果について検討を行った。その結果、それぞれの単独治療に加え有意に腫瘍抑制効果を認めた。さらに治療終了後のre-growthを放射線単独群では認めたにもかかわらず、併用治療では、認めなかった。さらに、併用療法では、γ-H2AXの高値を認めた。さらに、アデノウイルスベクター治療を行う上で重要となってくるアデノウイルス受容体(CAR)の発現レベルにいて、食道癌の切除検体を用いてその発現を評価し、放射線や化学療法後の食道癌患者に対する治療適応についての検討を行い、その関連性を確認した。さらにそのメカニズムとして、STAT3-Mcl-1 axisへのSOCS1治療が放射線治療のDNA損傷を増幅させることを明らかにした。こういった結果、アデノウイルスSOCS1治療と放射線治療の併用療法は食道がんに対する新たな治療法となる可能性が示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Gastric Cancer.
巻: 21(6) ページ: 968-976
10.1007/s10120-018-0822-1.