本研究では昨年度実施の研究を発展させ、以下を主な目的とした。 慢性期病院回復期リハビリテーション病棟の入院直後の患者を対象とし、様々な測定機器を活用し前向きに睡眠覚醒リズムや睡眠に関連する皮膚掻痒の実測値を測定し、診療記録情報と統合して分析することで転倒リスクに関連する夜間の行動パターンや療養環境の実態を明らかにすること。 前述した目的を達成するために、回復期リハビリテーション病棟に入院直後の患者の身体状態・行動・療養環境の実態調査を実施した。具体的には睡眠測定機器に加えて環境センサー、apple watch(加速度計)を用いて対象者の睡眠覚醒リズムや療養環境、皮膚の掻破行動を約2週間測定し、同時に診療記録情報を収集し、対象者の転倒リスクに関連する夜間の行動パターンに関する資料を作成した。測定実施後、病棟カンファレンスにて医療スタッフへ資料を提示し、ともにデータの解釈・評価を共有した。睡眠データ・環境データに関しては27名、皮膚掻痒のデータに関してはapple watchの装着に同意の得られた約10名に対して測定を実施した。結果、対象施設の温度は22-27℃と一定の範囲で維持されていたが、湿度に関して冬季は30%台まで低下するなど変動が大きいことが明らかとなった。夜間の掻破時間は10秒-2916秒(約48分)/日の範囲で掻破していることも明らかとなった。 これらの結果から、夜間の睡眠・覚醒リズムやそれに関連する環境や皮膚掻痒の実測値を測定することにより、夜間の行動パターンの実態把握が可能となり、対象者の転倒リスクに関連する要因の予測指標としての活用が期待できると考える。
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