本研究では、資源・エネルギー問題を軸に、第一次石油危機前後のソ連・東欧・中東の三者間関係を検討した。1950年代末以降、ソ連は東欧諸国に資源・エネルギーを供給し続けてきたが、この東欧諸国に対する資源輸出は次第にソ連の経済的な負担となった。そこで、ソ連指導部は東欧諸国に対して、イラン・イラクなどの中東諸国からの資源輸入を拡大するよう促し、コメコンでこの問題に関する政策協調を実現しようとした。しかし、第一次石油危機を受けて原油価格が高騰すると、ソ連・東欧諸国は中東における資源獲得競争から脱落した。このように、ソ連・東欧諸国の資源・エネルギー政策はグローバルな経済状況に強く翻弄されたのである。
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