研究課題
昨年度までに、非弾性近似下の回転磁気流体波における軸対称モード(ねじれアルフヴェン)の定式化とその数値シミュレーションの大部分を終えた。今年度は、これらの結果を精査することと、木星における検出可能性を評価することを目指した。後者には、木星探査機 Juno の磁場観測による最新の知見を用い、木星ダイナモシミュレーションの数値データを解釈した。その結果、木星金属水素層の最上部・赤道域における磁場強度が 30 G 程度である場合、木星ねじれアルフヴェン波は (a) 数年以上の時間スケールで、(b) 木星半径比 0.96 程度における東西帯状流に最大 10 % の時間変動や (c) 木星自転速度に 0.01 秒程度の時間変動を起こしうること、がわかった。このような長時間スケールの変動は、地上観測網などによるデータから過去に指摘されてきたが、現状では、明確な時空間構造を認めるのは難しい。さらなる時系列データの蓄積が必要である。これらの成果は、国際誌における速報論文、および、国内外の関連学会にて発表した。くわえて、非軸対称モードへと解析を進めた。特に、磁気ロスビー波に注目し、その定式化と数値シミュレーションを試みた。円柱座標系における定式化により、非弾性近似下の磁気ロスビー波は圧縮性ベータ効果または地形性ベータ効果のどちらかに由来することを確認し、その存在条件や二次元的伝播特性を検討した。その線形論を基に木星ダイナモシミュレーションを解析したところ、経度方向の時間変動に、速い磁気ロスビー波と同スケールの変動を確認した。一方で、その変動は多波長・多周期成分から成りスペクトル構造が不明瞭であること、半径方向の伝播特性を十分に説明できないこと、などがわかった。今後、スペクトル推定法の改良や線形論の再検討が必要だろうことが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 7件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
Earth and Planetary Science Letters
巻: - ページ: -
APS-DPP (Devision of Plasma Physics, Asia Pacific Physical Societies) Bulletin
巻: - ページ: CD-I12
https://arxiv.org/abs/1901.10154
https://www.researchgate.net/project/Waves-in-Earths-core