研究実績の概要 |
平成30年度は、新たなメンバー(昨年:教職大学院生と修士課程院生,本年:教職大学院生と修士課程院生と学部生)で観察チームを構成し、引き続き同じフィールドでチーム型授業観察を試行し、観察者の変容を確認した。その結果、つぎの2点が明らかになった。1つ目は、観察者あるいは観察者チームによって、他者への確実な伝達を必ずしも重視しない個人的なつぶやきのようなもの(即応的な授業認知)を即時的に多数共有できる場合とそうでない場合があり、前者の場合に観察者の授業認知の捉え直しが明確に確認できたということである。2つ目は、観察者個々のつぶやきの共有には、チームメンバーの関係性や観察目的の共有の有無が関わっている可能性が考えられるということである。 これらの結果については、代表者が過去に行った研究(望月,2015)で確認できた事柄においても共通点がみられる。具体的には、授業者へのフィードバックを目的として観察した学生と教員を目指す者としての学びを目的として観察した学生とがおり、後者はつぶやきレベルの記録と内省がみられ、観察者としての学習が確認できた。 以上の結果から、チーム型授業観察において観察者の学習を促すためには、観察前の観察目的の共有と、つぶやきレベルの記録を多数共有できるような仕掛けをつくる必要があることが明らかになった。その方法として、例えば、観察前に短いオリエンテーションプログラムを設け、ビデオ記録を用いた練習を行うなどの方法が考えられるが、今後さらに追求する必要がある。
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