研究課題/領域番号 |
17H06873
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
伊藤 大輔 鳥取大学, 医学部, 助教 (80609298)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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キーワード | 寄生虫 / マラリア / 熱帯熱マラリア原虫 / 赤血球膜 / イオンチャネル / 先端部小器官 / BioID / CRISPR/Cas9 |
研究実績の概要 |
マラリア原虫は、宿主赤血球に侵入する際、自身の周囲に寄生胞膜を形成する。その後、寄生胞膜を通して数百種類の原虫タンパク質を感染赤血球表面に分泌する。これにより赤血球膜は宿主免疫からの攻撃を回避する役割を果たす一方、原虫の増殖にとって必須なアミノ酸や脂肪酸といった栄養素を血清中から取り込むように改変される。申請者はこれらマラリア原虫の必須栄養素の取込み機構の分子基盤の確立を目的としている。 アミノ酸の取込みは感染赤血球膜上に形成されたイオンチャネルを通して行われることが知られており、抗マラリア薬開発の標的となっている。これまでに申請者はこのイオンチャネルの形成に赤血球侵入型原虫であるメロゾイトの先端部小器官に局在するRhopH複合体が関与することを明らかにしてきたが、それ以外の原虫分子は同定されていない。また脂肪酸の取込みに関する分子情報は全く明らかとなっていない状況である。 そこで本研究では、熱帯熱マラリア原虫RhopH複合体と相互作用する分子を同定する。またアミノ酸・脂肪酸の取込みに関与する先端部小器官分子の同定を試みる。分子間相互作用解析には、より感度の高いBioID法を用いる。ビオチン化酵素BirAを融合したRhopH複合体を発現する組換え原虫を作出するためのRhopH-BirA発現用コンストラクトは既に構築済みである。さらに表現型解析用コンストラクトも既に構築済みであり、CRISPR/Cas9法を用いた遺伝子組換え原虫の作出を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子組換えマラリア原虫の作出には新鮮なヒト血液の供給と選択薬剤が欠かせない。定期的にヒト血液、また薬剤を入手するための申請に時間を要した。現在定期的に十分量の血液および薬剤を確保する環境が整ったため、以後計画通りに研究を遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
RhopH-BirA発現原虫を作出し、質量分析法によりビオチン化されたRhopH複合体相互作用分子を同定する。同定した分子、および先端部小器官分子の表現型解析をより効率的に行うために、glmSリボスイッチ法による遺伝子発現制御系、ecDHFR-TMP法によるタンパク質機能阻害系、DiCre-loxP法による遺伝子除去系を組み合わせたコンストラクトを用いて遺伝子組換え原虫を作出し、解析する。
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