我々ヒトを含む脊椎動物は、体液イオン組成と浸透圧を常に海水の1/3程度に維持する優れた能力を持つ。本研究では我々の体液調節能力の起源と進化を探るため、現生脊椎動物で最も早くに分岐した円口類のヌタウナギに着目した。本種は鰓や腎臓などの体液調節器官を持つが、海産無脊椎動物と同様、体液は海水とほぼ同組成である。飼育実験とRNA-Seq解析の結果、ヌタウナギにも既知の体液調節関連分子が存在するが、積極的な塩類調節は行わないことが分かった。一方で、本種ではアミノ酸を利用した細胞単位での体液調節が重要であり、腎臓がこれを補助することが示唆された。
|