隠岐諸島は島根半島の北方約50 kmに位置するが、約2万年前の最終氷期には島根半島と陸続きとなっていた。その後、後氷期になると再び切り離され、現在のような島嶼環境になった。日本列島の森林の成立・維持の過程において隠岐諸島が果たしてきた役割を明らかにすることを目的として、カツラ、ミズナラ、クロベ、モミ等の木本植物のDNA解析を行った。もし、隠岐諸島の集団が過去にレフュジアとして機能していた場合には、他地域の集団と比較して遺伝的多様性が高いことが予想される。マイクロサテライトマーカーの遺伝子型と葉緑体DNAの非コード領域の塩基配列を決定し、遺伝的多様性と遺伝構造を調べた。その結果、隠岐諸島の集団は日本の他地域と同程度の遺伝的多様性を有していることが分かった。
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