研究実績の概要 |
口腔がんホウ素中性子捕捉療法に対して、新規ボロカプテイトを用いることにより、口腔機能温存、形態維持に優れた非侵襲で局所制御可能ながん治療の確立を目指し、H29年度は、in vitroにおける(1)ホウ素集積性(2)放射線感受性 の評価を行った。 (1)ホウ素集積性:舌扁平上皮癌由来細胞 (SAS, 理研)を用いて 以下4群のホウ素化合物、Ⅰ.非薬剤,ⅡBSH(Katchem),Ⅲ.ボロカプテイト(岡山大学で調整), Ⅳ. BPA(Katchem)を添加し、24時間培養後、継時的に(1,2, 6,24時間)細胞内に残留するホウ素濃度をICP発光分析装置(セイコーインスツルメンツ製VISTA-PRO)を用いて測定した。SASにおいては、BPA、ボロカプテイト、BSHの順に1ホウ素の高集積を認めた。また、10Bの添加時間においては、2時間以上添加したものにおいては有意差を認めないものの、いずれのホウ素化合物も24時間添加したものが高い集積性を示した。 (2)放射線感受性:(1)同様、SASを用いて、4つのホウ素化合物を添加した群の放射線感受性を評価した。添加したホウ素集積性、操作性の点から放射線感受性試験においてはホウ素添加時間を24時間とした。放射線医学総合研究所(NIRS)の中性子発生用加速器システム(NASBEE)を用いて、中性子線(0-5GyE)を照射した。中性子照射後10日間培養しコロニー形成法を用いて、細胞生存率を求めたところ、どの群においても高線量になるにつれ、生存率の低下を認めた。どの線量においても、BPA、ボロカプテイト、BSHの順に生存率の低下を認めた。 以上より、ボロカプテイトはBSHと比較してin vitroにおいて、口腔がんBNCTに対する効果を認めた。
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