研究課題
口腔機能温存、形態維持に優れた口腔がん治療法として、1回照射で正常組織にダメージを与えることなく腫瘍細胞を破壊できるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)がある。BNCTの原理は、腫瘍細胞内のホウ素と照射された熱中性子の捕捉反応がおこり、生じた高エネルギーの粒子線が腫瘍細胞を選択的に破壊するもので、BNCTにおいて腫瘍細胞へのホウ素の集積性が治療効果に大きく関与する。そこで、本研究では非侵襲的な局所制御可能な理想的ながん治療の確立に向けて、口腔がんBNCTにおけるホウ素薬剤として新規ボロカプテイトペプチド(BC)製剤の機能評価を行うこととした。前年度はin vitro で2種類のヒト口腔がん細胞株{ヒト舌由来扁平上皮癌細胞(SAS), ヒト唾液腺癌細胞株(HSG)}における効果を検討した。今年度は、その結果をもとにin vivoで担癌モデルにおけるBNCTの安全性と有効性の評価を行った。口腔がんモデルマウスとして、ヌードマウスの右足皮下にSASもしくはHSGを移植し腫瘍を形成した。担癌マウスにホウ素薬剤を腹腔内投与後、低線量、高線量の熱中性子を照射してBNCTを行い、継時的に腫瘍体積、マウス体重測定を行った。SAS,HSGどちらの担癌モデルマウスにおいても、ホウ素投与群はホウ素投与無し群に比べて有意に腫瘍縮小を認めた。どちらの口腔がん細胞株においても腫瘍縮小効果を認めたが、奏功期間では相違を認めた。照射3週間後まではどのマウスにおいても有意な体重変化は認めず、ホウ素投与における影響を認めなかった。 今後、さらなるBC製剤の機能評価としてBNCTのホウ素薬剤効果の検討に最適な担癌モデルマウスを検討する必要性も示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strahlentherapie und Onkologie
巻: 194 ページ: S100-S101
10.1007/s00066-018-1301-7