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2017 年度 実績報告書

根尖性歯周炎におけるIL-35による炎症制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17H06896
研究機関広島大学

研究代表者

進藤 智  広島大学, 病院(歯), 助教 (90806093)

研究期間 (年度) 2017-08-25 – 2019-03-31
キーワード根尖性歯周炎 / IL-35 / 歯根膜細胞 / 破骨細胞 / 制御性T細胞
研究実績の概要

本研究では制御性T 細胞(T reg)が産生する抗炎症性サイトカインinterleukin-35(IL-35)の抗炎症効果に着目し、根尖性歯周炎の病態での役割を解明することによって根尖性歯周炎におけるIL-35 の機能を明らかとし、IL-35 を用いた新たな歯内治療法を確立することが目標である。根尖性歯周炎の炎症性骨吸収に関与していると考えられているTh1細胞、Th17 細胞および破骨細胞に着目し、根尖性歯周炎病変局所においてIL-35 がTh1細胞、Th17 細胞の病変局所での分化、浸潤および破骨細胞活性化に与える影響について検討を行った。すなわち、根尖歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜細胞におけるTh17 細胞分化、破骨細胞活性化に関与するIL-6およびTh1細胞浸潤に関与するCXCL10産生に与えるIL-35の影響に関して実験を行った。
その結果、IL-35は炎症性サイトカインであるTNF-αが誘導するIL-6、CXCL10産生を抑制することが明らかとなった。さらにIL-35はTNF-α刺激ヒト歯根膜細胞のNF-κBによるシグナル伝達を阻害することによってIL-6、CXCL10産生を抑制することが明らかとなった。
これらの結果より、IL-35はヒト歯根膜細胞が産生するIL-6およびCXCL10を抑制することによって、Th1細胞浸潤、Th17 細胞分化および破骨細胞活性化を抑制しうる可能性が示唆された。すなわち、制御性T細胞が産生するIL-35は根尖性歯周炎における炎症性骨吸収を制御している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト歯根膜細胞におけるIL-35の抗炎症効果に関する実験は順調に進展している。ヒト歯根膜細胞から産生される炎症性サイトカインのうち、TTh1細胞浸潤に関与しているCXCL10にも着目し検討を行っている。また、当初の予定ではヒト破骨細胞を用いる予定であったが、マウス破骨細胞の実験系に変更し計画通り進展している。

今後の研究の推進方策

ヒト歯根膜細胞に対して他の炎症性サイトカインや細菌由来物質を用いてIL-35のさらなる抗炎症効果を検討する予定である。また、マウス破骨細胞形成に与えるIL-35の影響およびマウス根尖性歯周炎モデルを用いたIn vivoにおけるIL-35の機能の詳細を解析する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] OC-STAMP promotes osteoclast fusion for pathogenic bone resorption in periodontitis via up-regulation of permissive fusogen CD9.2018

    • 著者名/発表者名
      Ishii T, Ruiz-Torruella M, Ikeda A, Shindo S, Movila A, Mawardi H, Albassam A, Kayal RA, Al-Dharrab AA, Egashira K, Wisitrasameewong W, Yamamoto K, Mira AI, Sueishi K, Han X, Taubman MA, Miyamoto T, Kawai T
    • 雑誌名

      The FASEB Journal

      巻: 32 ページ: -

    • DOI

      10.1096/fj.201701424R

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] IL-29 Enhances CXCL10 Production in TNF-α-stimulated Human Oral Epithelial Cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Hosokawa Y, Hosokawa I, Shindo S, Ozaki K, Matsuo T
    • 雑誌名

      Immunological Investigations

      巻: 46 ページ: 615-624

    • DOI

      10.1080/08820139.2017.1336176

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gomisin N Decreases Inflammatory Cytokine Production in Human Periodontal Ligament Cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Hosokawa Y, Hosokawa I, Shindo S, Ozaki K, Matsuo T.
    • 雑誌名

      Inflammation

      巻: 40 ページ: 360-365

    • DOI

      10.1007/s10753-016-0482-4

    • 査読あり
  • [学会発表] IL-35はTNF-αが誘導するヒト歯根膜細胞のIL-6およびCXCL10産生を抑制する2017

    • 著者名/発表者名
      進藤智、細川義隆、細川育子、尾崎和美、柴秀樹、松尾敬志
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2017年度秋季学術大会

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公開日: 2018-12-17  

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