研究実績の概要 |
CRT陽性細胞の腫瘍原性確認:膵癌細胞株Panc1から我々独自の方法で誘導した膵癌幹細胞豊富な細胞集団(Panc1-lm)からフローサイトメトリーを用いて、CRT陽性細胞、CRT陰性細胞を分離し、NGSマウスの皮下に接種し、腫瘍原性を確認したが、差は確認できなかった。 Sphere forming assay:同様に分離したCRT陽性細胞、CRT陰性細胞、Panc1-lm、Panc1(親細胞)の4群の細胞を、それぞれ低接着プレートにまき、Sphere形成能を確認した。100cells/wellの濃度で、CRT陽性細胞からは100%の割合でsphereが形成されたが、CRT陰性細胞からはsphereが形成されず、Panc1-lmからは46%、Pan1(親細胞)からは5%でsphereが形成された。CRT陽性細胞の高い幹細胞性の一面が明らかになった。 Stemness gene, EMT related geneの発現確認:同様に分離したCRT陽性細胞、CRT陰性細胞でreal time PCRを行った。CRT陽性細胞では、CRT陰性細胞と比較し、Stemness geneであるNANOG、EMT related geneであるSLUGが高発現していた。現在、次世代シーケンサーを用いたRNA seqで、網羅的な遺伝子発現解析を進行中であり、CRT陽性細胞とCRT陰性細胞の相違が明らかになると考えている。 CRT陽性細胞の免疫逃避機構:フローサイトメトリーを用いて免疫逃避機構に関連する表面抗原の検索を行った。CRT陽性細胞では、LSECtinやPD-L1などの免疫抑制に関連する免疫チェックポイント関連分子が高発現しており、CRT陽性細胞が宿主の免疫監視機構から逃避している可能性が示唆された。
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