現在、歯ぎしりや食いしばりを代表とした睡眠時ブラキシズムの治療はナイトガードの適応が第一選択となっているが、対症療法であり、根本治療ではない。生活習慣により直接的あるいは間接的に睡眠時ブラキシズムが惹起されていることが報告されている。そのため、その睡眠衛生指導を行い、生活習慣を改善することによって、睡眠の質が向上し、睡眠時ブラキシズムも減少するのではと考え、睡眠時ブラキシズムの根本治療を目指すため、本研究を遂行するに至った。 平成29年度に睡眠時ブラキシズム患者に対し、睡眠衛生指導を行い、その有効性を確認した。これを基に徳島大学臨床研究倫理審査委員会に当該研究の申請を行い、研究許可を得た。同時に簡易型睡眠測定器(Sleep profiler 2)を用いた測定システムの構築を行った。 その後、携帯型の歯ぎしり・いびきモニタと睡眠スクリーニング測定装置を用いて、睡眠時ブラキシズム患者3名(男性1名、女性2名、平均年齢25.3歳)に対し、自宅にて睡眠測定を行った。研究初日に睡眠時ブラキシズムに関する生活悪習慣(アルコール・カフェイン・ニコチンの摂取、昼寝、就寝前の行動など)のアンケートと睡眠時ブラキシズムのベースライン測定を行った。その後、睡眠衛生指導を行い、1週間生活悪習慣の除去に徹してもらい(毎日確認リストのチェックを行ってもらった)、最終日にその効果の判定のため、再度睡眠時ブラキシズム判定を行った。その結果、全員がブラキシズム患者(>2.0/h)であり、睡眠衛生指導の結果、1名は6.8/hが0/hに激減、1名は3.7/hから4.4/hに微増、残りの1名は3.4/hから14.1/hに激増した。睡眠衛生指導が奏効するまでには時間がかかることもあり、今後は長期的な効果やResponderとNon-responderについて検証していき、国民の健康増進に寄与していく予定である。
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