過去の被災調査から,埋設管路の被害率は液状化に伴う地盤変状の発生によって大きく上昇することが明らかとなっている.特に圧力管路の屈曲部は被害率が非常に高い管路系最大の弱部であり,屈曲部の水平変位に伴う継手部の抜け出し被害が頻発している.その原因として,管路内の水流による遠心力や内水圧の不均衡等によって発生するスラスト力と呼ばれる外力の存在が指摘されているものの,液状化時におけるその具体的な被害メカニズムは明らかとなっていない.それゆえ,効果的な対策手法の確立にも至っておらず,対応が急がれている.本研究課題は.液状化時における埋設管の水平変位挙動を実験的に再現することでその被害メカニズムを解明し,有効な液状化時スラスト防護対策を提案することを目的とする. 平成30年度は,前年度に実施した遠心模型実験の実験条件を拡張し,管の水平載荷条件および埋設条件を変化させた模型実験を実施した.従来の変位制御の水平載荷に加えて,より実際のスラスト力に近い荷重制御の水平載荷を行うことで,液状化時における埋設管の水平変位メカニズムを明らかにすることができた.また,豊浦砂で埋め戻した均一な地盤条件に加えて,管路の周囲を砕石で埋め戻した条件で加振実験を行い,その変位抑制効果を検証した.その結果,砕石層が管路変位方向側地盤の過剰間隙水圧の消散を促進させることで水平抵抗力が確保され,無対策の条件に比較して最終的な変位量を25%程度にまで抑制できることを明らかにした.
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