本研究は,3次元オブジェクトモデルの時系列データから電子ホログラフィ動画像をリアルタイムに再生するための,効率的かつスケーラビリティに優れたシステムを示すこと,ならびにそのシステムの試作を最終的な目的としている.この研究の特長は,コンピュータクラスタを使用した従来のリアルタイム動画像生成においてボトルネックとなりがちなホログラム動画フレームのデータ転送経路に着目し,一般的なネットワーク通信に加え,伝送帯域の広いビデオ伝送チャネルも併用することで全体的な通信効率化を図る点にある. 前年度にこのシステムのコアとなるホログラム動画フレーム合成モジュール単体の試作し動作テストを行った.使用したFPGA(field-programmable gate array)開発ボードを使用してのシステムの実現が可能であることを示すことができたため,今年度は引き続きシステム全体の完成を目指した.単体モジュールを複数台作成し並列動作させることで,動画フレームを合成し得ることまでは確認できたが,全体としては安定動作性に欠けパフォーマンスを計測するまで至れなかった.当初計画したシステム全系の完成まで至ることはできなかったが,コアとなる動画フレーム合成アーキテクチャが実現可能でパフォーマンス改善に有効であることが分かった.今年度の関連実績として論文発表1件と特許出願1件を行った.当初目標を実現できる見込みは立てられたことから,今年度中にシステムを完成させ成果として発表できる見込みである.
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